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ビーツとは?栄養と効能・選び方やおすすめレシピ・育て方も徹底解説!

ビーツとは?栄養と効能・選び方やおすすめレシピ・育て方も徹底解説!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2020年12月23日

果肉の鮮やかな赤色が特徴的な「ビーツ」という野菜をご存知だろうか?本稿では、食卓に彩りを添えるビーツの基礎知識や栄養と効能、選び方や保存方法、食べ方やおすすめレシピ、さらにはご家庭での栽培方法まで徹底解説する。

  

1. ビーツとは

「ビーツ」は日本料理で使われることはあまりないため、聞き慣れない方も多いだろう。まずは、ビーツの基本から解説していこう。

ボルシチに欠かせない野菜

肥大した根の部分が食用で、ロシア(ウクライナ)の伝統的な料理「ボルシチ」に使われる真っ赤な野菜がビーツだ。テーブルビート(または単にビート)と呼ぶことも多い。料理のほか天然の色素としても使われる。現在では、赤以外に白や黄色、紅白マーブルなどがあり形もさまざまだ。

和名を「火焔菜」という

ビーツは、紀元前よりもさらに前から栽培が始まったといわれている。古代ローマから中世ヨーロッパにかけては、薬用に食用にと幅広く使われていたという。現在の根を食す赤いビーツは、16世紀にドイツで栽培されたものが起源とされる。日本には江戸時代に伝わり、燃えるように赤い色から「火焔菜(カエンサイ)」という和名がつけられた。

糖度が高く甘みがある

日本料理ではあまり見かけることがないため、初めて知ったという方はとくに、どんな味がするのか気になるだろう。実はビーツには「ショ糖」が含まれているため、甘みを感じることができる。糖度に限っていえば、ごく普通のいちごほどになるという。時間をかけて加熱調理したものはとくに、優しい甘さが美味しいといわれている。

ビーツの種類

  • デトロイト・ダークレッド
  • サフランイエロー
  • リーフビート
  • シュガービート など
「デトロイト・ダークレッド」は食用ビーツの代表である。鮮やかな紅色の根の部分は整った球形で、切り口には年輪のような同心輪紋がある。甘味があり、酢漬けやサラダなどに絶好だ。「サフランイエロー」は、外皮がオレンジ色で中身は黄金色をしている。甘く美味でサラダやシチュー、煮込み料理に利用できる。ピクルスにして彩りに添えるのもおすすめだ。

「リーフビート」は葉を食用にするもので、ほうれん草と同様に調理できる。和名は「不断草(フダンソウ)」という。「シュガービート」は甜菜または、白く肥大した根の部分に砂糖を蓄えることから砂糖大根と呼ばれることもある。砂糖の原材料でで、日本では主に北海道など寒冷地で栽培される。

2. ビーツの主な産地と旬

ビーツの原産地は地中海沿岸地方といわれているが、アメリカやオーストラリア、オランダやニュージーランドからの輸入ものが多い。日本ではどうだろうか?主な産地や旬の時期について解説しよう。

国内の主な産地

埼玉県・長野県・茨城県・熊本県・北海道など各地で生産されているが、まだまだ出回る量は少ないのが現状だ。ただし家庭菜園でも比較的簡単に栽培できる。本稿でも最後に栽培方法のポイントを紹介しているので、手に入りにくいようなら育ててみてはいかがだろうか?

旬は春まき・秋まきで変わる

国産のビーツは、春まきであれば6~7月頃、秋まきは11~12月頃に収穫され市場に多く出回る。このあたりが旬となるだろう。輸入もののビーツは通年出回っているため、比較的手に入れやすい。とはいえスーパーなどで見かける機会は意外と少ない。輸入食品店や地産マルシェ、直売所や道の駅、ネット通販などで手に入りやすいので、ほしいときはこうしたところを探してみよう。

3. ビーツの下ごしらえと食べ方

次に、ビーツの基本的な食べ方について、下ごしらえのポイントなども交えながら解説する。

生で食べる場合

一般的には加熱して食すものだが、新鮮なビーツを入手できたら生で食べる方法もある。とくに紅白マーブルのビーツはアクが少なく食べやすい。皮は厚めに剥き、スライサーで薄く切るか、やや太い千切りにする。好みのドレッシングで和えたら、お皿にベビーリーフと盛りつければ完成だ。お好みでクルミやカッテージチーズなどを合わせても美味しい。

茹でる場合

色素が抜けないよう、皮付きの状態で丸ごと茹でるのがポイントだ。まずは根および茎をそれぞれ3〜5cmほど残してカットし、よく水で洗う。鍋にビーツと、ビーツがしっかりかぶる程度まで水を入れよう。次に、より鮮やかな赤色に仕上げるため、鍋に少量の酢またはレモン汁を混ぜる。そのまま弱火で30分ほど茹で、最後に塩を少々加えて仕上げる。あとは食べやすい大きさにカットしていただこう。

なお火が通っているかどうかは、竹串がスッと刺さるかどうかでチェックできるが、穴をあけると色素が流れるおそれがある。心配なときは、鍋から取り出して流水にあて、ほんの少し皮を剥いてみよう。スッと簡単に剥けるようであれば火が通っていると判断してよい。

オーブンで焼く場合

よく水洗いした皮付きのビーツに軽く塩をふり、アルミホイルで包む。十字に切り込みを入れておけば、中まで熱が通りやすい。あとは180℃のオーブンで40分〜1時間ほどじっくりと焼き上げれば完成だ。オーブンでじっくり加熱することで、優しい甘みが引き出される。なおカットしたビーツにオリーブオイルをかけてからアルミホイルで包み、オーブンで焼くといった方法もある。

4. ビーツを使ったおすすめレシピ

ビーツは、そのまま食べれば本来の優しい甘さや食感を楽しめるが、いろいろな料理に使うのもおすすめだ。いくつか紹介するので、ぜひ試してみてほしい。

ボルシチ

ビーツを使った定番料理といえばボルシチだ。ビーツとジャガイモや玉ねぎ、にんじんや牛肉などの具材を食べやすいサイズにカットしたら、鍋に水とローリエを入れてそれらを煮込もう。具材が柔らかくなるまで煮込んだら、トマトピューレを入れて塩胡椒で調味しよう。あとはお皿によそってサワークリームをのせれば完成だ。

ポテトサラダ

ビーツとじゃがいもを茹でる。しっかり中まで火を通すため、先にビーツを茹で始めるのがポイントだ。茹で上がったビーツは皮を剥き、じゃがいもはボウルに入れてマッシャーなどでお好みの大きさまでつぶす。次に、玉ねぎとパセリをみじん切りに、きゅうりをサイコロ状にカットする。あとはこれらをボウルに入れてマヨネーズ・塩胡椒で調味すれば完成だ。

スムージー

ミキサーに、茹でて皮を剥いたビーツと牛乳(または豆乳)、それにミックスベリーなどお好みの果実を入れ、よく撹拌するだけでOKだ。前夜に茹でておけば、朝に爽やかな1杯を楽しめる。

ピクルス

流水でよく洗ったビーツを皮付きのままアルミホイルに包み、180℃のオーブンで1時間ほど焼き上げる。粗熱が抜けたら皮を剥いてお好みの形状にカットし、鍋でひと煮立ちさせた調味料とともに保存用の瓶に詰めれば完成だ。瓶は煮沸消毒したものなど清潔な容器を使おう。

5. ビーツの栄養と効能

ビーツにはいったいどのような栄養素が含まれているのだろうか?代表的なものを紹介しよう。なお数値はいずれも文部科学省「食品成分データベース」によるもので、カッコ外が「生」、カッコ内が「ゆで」の含有量を表している(※1・※2)。

ビーツ可食部100gあたりの主な栄養一覧

  • エネルギー:41(44)kcal
  • 水分:87.6(86.9)g
  • たんぱく質:1.6(1.5)g
  • 炭水化物:9.3(10.2)g
  • ナトリウム:30(38)mg
  • カリウム:460(420)mg
  • カルシウム:12(15)mg
  • マグネシウム:18(22)mg
  • リン:23(29)mg
  • 鉄:0.4(0.4)mg
  • 亜鉛:0.3(0.3)mg
  • 銅:0.09(0.09)mg
  • マンガン:0.15(0.17)mg
  • ビタミンB1:0.05(0.04)mg
  • ビタミンB2:0.05(0.04)mg
  • ナイアシン:0.3(0.2)mg
  • ビタミンB6:0.07(0.05)mg
  • 葉酸:110(110)μg
  • パントテン酸:0.31(0.31)mg
  • ビタミンC:5(3)mg
  • 水溶性食物繊維:0.7(0.8)g
  • 不溶性食物繊維:2.0(2.1)g
ほかの野菜などと比べて突出した数値はないものの、ミネラル類やビタミン類、食物繊維などがバランスよく含まれているのがビーツの特徴だ。主な栄養素と効能を見ていこう。

カリウム

細胞内に多く存在するミネラルの一種で、ナトリウムを排出する働きや、細胞内液の浸透圧を一定に保つ働きがある。とくに塩分の摂り過ぎを調節するのに欠かせない栄養素だ。不足すると脱力感や食欲不振、精神障害などを招くこともある(※3)。生のビーツ100gあたりにはカリウムが460mgと豊富に含まれている。

食物繊維

ヒトの消化酵素では消化しきれないのが食物繊維だ。大きく不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、整腸作用のほか、便秘の改善や血糖値の上昇をゆるやかにするといった働きがある。日本人の多くが不足しているといわれており、意識して摂取したい栄養素のひとつだ(※4・※5)。生のビーツ100gあたりには食物繊維が2.7g含まれている。

葉酸

水溶性ビタミンに分類される、ビタミンB群の一種である。細胞の増殖に必要なDNAの合成に関与するほか、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減する作用も認められている。そのため妊婦さんはとくに意識的な摂取を推奨される栄養素である。生のビーツ100gあたりには、葉酸が110μg(マイクログラム)含まれている。なお1日の摂取推奨量は18歳以降240μg、妊婦さんは480μgだ(※6)。

ベタシアニン

鮮やかな赤をした果肉の色素になっている成分がベタシアニンである。活性酸素の働きを抑える効果がある抗酸化物質のひとつ、ポリフェノールに分類される栄養素である。抗酸化物質は動脈硬化や老化、がん防止などに役立つとされている(※7・※8)。

6. ビーツの選び方と保存方法

運よくビーツに出会えたら、できるだけ新鮮なものを選びたいと思うはずだ。選ぶときの着目点を覚えておこう。保存方法とあわせて解説する。

新鮮なビーツの選び方

食用の代表品種であるデトロイト・ダークレッドの場合、表面が滑らかで丸く、傷がないものを選ぼう。直径は7〜8cmなど10cm以下を目安にする。大きすぎないものの方が、しっかり実が詰まっている場合が多いためだ。また茎の付け根部分にも着目し、皮が剥けていないものを選ぶとよい。加えて、手に持ったときにしっかり重さを感じられるものがおすすめだ。

ビーツの保存方法

新聞紙で包み、ポリ袋に入れてから冷蔵庫(野菜室)で保存し、1週間を目安に使い切ろう。その際、根と葉は分けておくとよい。葉が成長する際に、根の養分や水分を奪ってしまうのを防ぐためだ。冷凍保存する場合は、加熱して冷ましたビーツを使いやすいようにカットし、フリーザーバッグに入れて保存しよう。ただし冷凍ビーツは解凍すると崩れやすい。そのためスープに入れるか、スムージーにするといった使い方がおすすめだ。

7. ビーツの栽培方法

お伝えしたように、ビーツはご家庭でも育てられる。初心者の方でも難しくないうえ、2~2カ月半ほどで収穫できる野菜なので、興味がある方はぜひ家庭菜園にチャレンジしてみてはいかがだろうか?最後に、育て方のポイントを解説しよう。

栽培のポイント

ビーツは暑さに弱く、15~21℃が生育適温とされている。したがって9月初め頃に植え付けを行うとよい。また乾燥にも弱いため、日当たりがよい場所で栽培するときは気温や水切れなどに気をつけよう。

植え付けと水やり

いろいろな栽培方法があるが、ここでは基本的なやり方を紹介する。まずはプランターに市販の培養土を入れ、10cm間隔で種を蒔く。蒔いたら周辺の土を寄せて盛土し、手で軽く押さえる。乾燥が苦手なので、水切れにならないようにきちんと水やりをしよう。芽が出てからは、土の表面が乾いたタイミングで暖かい日中に与えるのがポイントだ。なお2週間に1回くらいのペースで、液肥を与えてあげると生育がよくなる。

間引きと追肥

発芽したあとの間引きも重要だ。間引きが不十分では生育が悪くなるため気をつけよう。種1つにつき数本発芽するので、元気な芽を2本ほど残してあとはハサミなどで切り落とす。本葉が成長したときも同じように2回目の間引きをするのだが、その際、プランターのふちに沿って化成肥料を追肥しておこう。2〜2カ月半ほどで収穫できるとはいえ、肥料切れは防ぎたいからだ。

防寒対策と収穫

寒さにはある程度強いビーツだが、15℃を下回るような環境では生育が悪くなるおそれがある。風が当たらない場所にプランターを移動させたり、寒冷紗(かんれいしゃ)をトンネル掛けしたりして寒さから守ろう。収穫のタイミングは、土から見えているビーツの「肩」の部分の幅が5〜6cmほどになった頃だ。収穫が遅れると食感が落ちるため気をつけよう。

結論

ビーツをまったく知らなかったという方も、少しは詳しくなれたのではないだろうか?ほんのり優しい甘さを感じられるビーツは、スーパーで見かける機会は少ないかもしれないが、家庭菜園でも育てられるしネット通販でも手に入る。興味を持った方はぜひ一度、味わってみてほしい。

(参考文献)

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  • 公開日:

    2018年12月 8日

  • 更新日:

    2020年12月23日

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